発表ポスター一覧

 

Aバイオ

A1
生体内で溶けてなくなるMg合金のための腐食制御被膜の開発
Corrosion-control coatings of biodegradable Mg alloys
廣本 祥子(構造材料研究拠点 腐食特性グループ 主席研究員)

骨接合材やステントなど患部の治癒後は不要になる医療用デバイスへのMg合金の適用が欧州等で始まっている。Mg合金は生体内埋入直後に急激な溶解を起こすため、溶解に伴い発生した水素ガスによる組織との接合の阻害やデバイスの強度低下が懸念される。また、骨接合材には骨との早期に接合・固定が求められる。そこで我々は骨伝導性を示す水酸アパタイト(HAp)被膜を開発し、Mg合金の腐食制御および骨伝導性の向上を行っている。本ポスターでは、HAp被覆Mg合金のラット大腿骨埋入試験およびHAp被膜の自己修復性改良のためのポリマー修飾に関する結果を紹介する。

A2
加工性と疲労特性に優れた医療デバイス用CoCr合金
Co-Cr alloys for medical device applications with high fatigue resistance and superior formability
土谷 浩一(構造材料研究拠点 構造材料組織解析技術グループ 上席研究員)

高齢化、長寿命化にともないステントなどの体内留置型医療デバイスの留置期間が増大するため、疲労寿命に優れた医療デバイス材料への需要が高まっている。また、デバイスの小型化に伴い、高加工性かつ高強度の医療デバイス材料を開発する必要がある。今回、我々はCo-Cr-Mo-Ni合金の積層欠陥エネルギー制御により、既存の冠動脈ステント合金(L605, MP35N)より優れた低サイクル疲労寿命を示す合金を開発した。今回は開発合金のチューブ材を作製しその特性を評価するとともに、チューブ材のレーザー加工によりステントの試作を試みた。

A3
長期保存可能なヒト角膜移植代替脱細胞化豚角膜移植片
Long storable substitution of human corneal graft made by decellularized porcine corneal stroma
小林 尚俊(MANA NIMS特別研究員)
橋本 良秀、岸田 晶夫

近年、異種動物の組織・臓器から細胞成分を除去し免疫原性を低下させた脱細胞化足場材料が組織再生に良好に働くことに注目が集まり、様々な臓器・組織への応用が試みられている。本研究では、献眼システムに依存したヒト角膜移植片に代替可能な、長期保存安定性を持つ角膜再生足場材料・デバイスを開発した。超高静水圧処理の各種処理条件を検討した結果、最低でも6カ月間は安定に保存出来、手術直後から透明で、免疫反応もほとんど起こさない角膜実質再生用足場材料の開発に成功した。

A4
電気細菌学がもたらす新原理センサーとバイオフィルム破壊のイノベーション
Electrochemical microbiology opens novel technologies for sensing and eradicating harmful bacteria
岡本 章玄(MANA 独立研究者)

細菌には様々な化学特性があり、人間や社会との関わり方も様々である。発酵食品や抗生物質などの恩恵をもたらしてくれる場合もあるが、感染症などの害をなす性質を持つものもいる。最近では、アルツハイマー病に関連するものや、鉄を腐食させてパイプラインの破損事故の直接的な原因となるものも報告されており、益々細菌のヒト・材料・環境との関わりが注目されている。本稿では、中でも人知れず電子を操る「電気細菌」の能力を持ち、巧みに利用してきたことが暴かれつつある「悪玉電気細菌」の電子移動メカニズムの発見に基づき、医療や環境における有害細菌の検出、代謝不活性化技術の開発に関して最新の成果を発表する。

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B機能性材料

B1
ハエの脚をモデルに開発した接着構造
Biomimetic attachment device learning from fly's foot pad
細田 奈麻絵(構造材料研究拠点 表面・接着科学グループ グループリーダー)
木村 賢一(北海道教育大学)

ハエやハムシなどの昆虫は、色々な表面を垂直にも逆さまにも歩くことができる。これらの昆虫の脚裏には接着に優れた毛が生えており、これを迅速にくっつけたり剥がしたりして歩いている。生物が接着構造(例えば、昆虫の脚裏)を少ないエネルギー消費で、しかも室温で形成していることに着目し、生物の「形」だけでなく、新たに生物自身の「作り方」を模倣する独創的な手法を開発した。

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B2
BNナノレベル分散スラリーの放熱効果
High heat dissipation by BN nano-slurry
下田 一哉(構造材料研究拠点 接合・造型分野 セラミックス基複合材料グループ 主任研究員)

自動車等に搭載する電子部品の性能を高めるため、部材の放熱効率を高める技術として細かなナノフィラー(隙間充填剤)の開発が強く望まれている。本研究では、特にナノレベルの窒化ホウ素(BN)を20%含み高分散させたスラリーをナノフィーラー(隙間充填剤)として開発し、6ケ月に及ぶ経時変化せず優れた分散性を示すことを実証した。また、放熱特性として熱伝導度が開発したBNナノレベル高分散スラリーを添加することで向上することも検証した。

B3
撥水粉体を用いた機能性液滴カプセル
Functional droplet capsules using hydrophobic powder
天神林 瑞樹(MANA 独立研究者)

微小な液滴の輸送技術は微小検体センシング・薬品の精密合成・貴重薬剤の輸送・細胞培養に有用である。しかし輸送過程における不本意な液滴の付着はさけられず輸送効率の低下が懸念される。そこで微小液滴を輸送効率100%で遠隔運動制御できる撥水技術の開発が求められる。本研究では撥水粉体で液滴を被覆することで液滴表面を固体化させ、輸送過程での付着損失をなくすカプセル化技術に着目した。機能性粉体を撥水化することで、粉体に由来する液滴カプセルの機能化を目指す。特に液滴カプセルに遠隔運動制御・遠隔内容液放出機能を付与する。

B4
超伝導になる液体金属
Superconducting liquid alloy
茂筑 高士(先端材料解析研究拠点 中性子散乱グループ 主幹研究員)

GaInSn液体合金は室温以下の共晶点(凝固点)を持ち、約260 K以下に冷却するとInSn合金を析出して、6 K以下で超伝導を示す。したがって、基板上に塗布して、冷却するだけで超伝導厚膜を作成することができる。また、2枚の超伝導体の間にGaInSn液体合金を挟むだけで容易に超伝導接続を作製できる。

B5
バイオベース高性能抗菌材料
Bio-base high-performance antibacterial materials
内藤 昌信(統合型材料開発・情報基盤部門 データ駆動高分子設計グループ グループリーダー)

COVID-19のパンデミックにより、世界中で抗菌に対する意識が高まっている。抗菌コーティング剤など材料に求められる要求性能も大きく変化している。一方、無機ナノ粒子(銀など)や有機系抗生物質は安全面から使用禁止の動向にあることから、その代替材料の開発が急務となっている。そのような社会要請の中、我々は安価で高性能な生物資源として、芳香族バイオマスに注目した。中でも、抗菌・抗酸化性などポリフェノールの優れた機能を損なわず変性・加工するコア技術を確立することで、様々な樹脂・塗料・界面活性剤・接着剤等に応用展開した成果について発表する。

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B6
緻密透明セラミックスの合成と光学応用
Fine-grained transparent ceramics and laser application
金 炳男(機能性材料研究拠点 光機能分野 外場制御焼結グループ グループリーダー)

通電加圧焼結法の駆使により、組織を微細に維持したまま緻密に焼結する技術を開発し、従来透明化が困難であった異方性セラミックス(アルミナ、アパタイトなど)の透明化および力学特性の向上を行った。一例で、非立方晶系レーザーセラミックスの開発が挙げられる。

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B7
炭素リサイクルのためのメタン・二酸化炭素転換触媒
Catalytic Methane/Carbon-dioxide Reforming toward the Carbon-recycling Society
阿部 英樹(エネルギー・環境材料研究拠点 主席研究員)

温室効果ガス大気中濃度の上昇とシェールガスなど非在来型天然ガス資源の資源拡大を前に、メタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)から水素(H2)や一酸化炭素(CO)などの高付加価値製品原料を製造する低環境負荷・高効率・長寿命の開発と社会実装が急務。本研究では、持続可能な社会に向けた低CO2排出型の新しい触媒材料について紹介する。

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B8
水素液化のための磁気冷却材料の開発
Magnetocaloric materials for hydrogen liquefaction
櫻井 裕也(エネルギー・環境材料研究拠点 液化水素材料研究センター 磁気冷凍材料グループ 主幹研究員)

エネルギー源として水素を利用できるようにすることが喫緊の課題となっている。そのためには水素の液化コストを大幅に圧縮する必要がある。高効率な磁気冷凍は低コスト化の鍵と期待されている。そこで磁気冷凍システムに用いる磁気冷却材料の高性能化が求められている。我々のグループでは様々な材料の多様な相転移の磁気冷却性能を評価し新たな高性能磁気冷却材料を開発することを目指している。その実例としてMn酸化物の金属絶縁体転移や希土類ケイ素化物のスピンフロップ転移の磁気エントロピー変化が構成元素によってどのように変わるかを紹介する。

Cセンサ

C1
高感度なバイオ分子検出メタ表面センサー
High-Sensitive Metasurface Sensors for Biomolecules
岩長 祐伸(機能性材料研究拠点 光機能分野 プラズモニクスグループ 主幹研究員)

蛍光増強効果に特に優れるメタ表面をバイオセンサーに応用し、バイオ分子の検出を進めている。巨大タンパク質分子(抗原・抗体など)から核酸分子(DNA, RNA)まで広範な対象を定量的、高精度かつ高スループットな検出が可能であることを見出した。夾雑分子耐性が良く、再現性にも優れるため、実用に資する新規バイオセンサーである。

C2
応答速度1msのメタマテリアル赤外線NO2センサ
Metamaterial NO2sensor with a 1-ms time resolution
宮崎 英樹(機能性材料研究拠点 光機能分野 プラズモニクスグループ グループリーダー)

水銀、カドミウムを用いずに高い感度を実現できるメタマテリアル赤外検出器を、NO2濃度の高速測定に応用した。交互に配列した2種類の共振器でそれぞれの共鳴波長を選択的に吸収するフォトンソーティングを利用し、ガス計測に必要な2枚のフィルタと2個の赤外検出器の機能を、1つの検出器に集積化した。従来、エンジンの開発において、応答速度1msの高速NO2測定は、専用のチャンバを接続して化学発光方式で行われていた。本研究では、同等の測定を簡便な赤外線方式で実現できることを示した。本方式は他の多くのガスにも適用できる。

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C3
高温環境で使用可能な高信頼性MEMS磁気センサ
High-reliability MEMS magnetic Sensor for High-temperature Applications
LIAO Meiyong (廖 梅勇)(機能性材料研究拠点 電気・電子機能分野 ワイドギャップ半導体グループ 主幹研究員)

従来の小型磁気センサでは実現困難であった500℃の高温環境で動作可能な高信頼性MEMS磁気センサを開発した。NIMS製の高品質CVDダイヤモンドのMEMS構造加工、共振性能評価、磁気センサ応用に関して説明する。

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C4
磁性体を用いたフレキシブル熱流センサー
Flexible heat flux sensor using magnetic materials
桜庭 裕弥(磁性・スピントロニクス材料研究拠点 磁性材料グループ グループリーダー)

熱流センサーは、熱の流れる"方向"と"大きさ"を高速に検知できることから、温度計よりも高速な熱検知と高効率な熱制御を可能にするデバイスとして期待される。現行のゼーベック効果型熱流センサーは、感度こそ高いものの、センサー単価が高く、フレキシビリティーが低い、センサー自体の熱抵抗が大きいという重大な課題が解決されず、社会に幅広く利用される汎用的なセンサーにはなっていない。一方、磁性体において発現する異常ネルンスト効果を利用すると、これらの課題が一気に解決できる可能性がある。本発表では、異常ネルンスト熱流センサー実現のための材料開発並びにNIMSにおいて試作した熱流センサーの性能について紹介する。

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C5
高感度磁気センサーの開発と応用英語(日本語訳なし)
Developing high-sensitivity magnetic sensor and its applications
Dongfeng HE(何 東風)(構造材料研究拠点 接合・造型分野 積層スマート材料グループ 主幹研究員)

Using FeCoSiB amorphous wire, small high sensitive magnetic sensor was developed. This magnetic sensor has low noise, big dynamic, long time stability. We used the magnetic sensor for nondestructive evaluation. And the magnetic sensor can also be used at 4.2k. A compact system was developed to evaluate the corrosion of the steel wire.

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D電子デバイス材料・磁性材料

D1
単一光子LEDの開発
Development of single-photon LED
黒田 隆(機能性材料研究拠点 光機能分野 ナノフォトニクスグループ グループリーダー)

我々は、半導体量子ドット作製技術とナノフォトニクス技術を融合することにより、電流で駆動するLED型単一光子源を開発しました。これまで大掛かりな外部レーザーが必要だったところ、素子単体での光子発生が可能になりました。量子技術への適用が期待できます。

D2
元素戦略磁性材料研究拠点の紹介
Introduction of Elements Strategy Initiative Center for Magnetic Materials
三俣 千春(磁性・スピントロニクス材料研究拠点 元素戦略磁性材料研究拠点 元素戦略磁性材料研究拠点企画室 企画室長)

元素戦略プロジェクト<拠点形成型>において永久磁石研究を分担する「元素戦略磁性材料研究拠点」では、希少元素を利用しない永久磁石材料開発に挑んでおり、このプロジェクト成果の一部を紹介する。

D3
アルミナReRAMの動作原理
Switching mechanism of alumina ReRAM
加藤 誠一(MANA 超薄膜エレクトロニクスグループ 主任研究員)
久保田 正人、雨宮 健太

適度な酸素空孔をもつアモルファスアルミナ(AlOx)は電子の注入・抽出によりスイッチング現象を起こすことからReRAM材料としての応用が期待されている。現在遷移金属系酸化物ReRAMが広く研究されており、酸化還元反応等の化学反応により動作するモデルが支持されているが化学反応であるため副次反応による劣化が生じ繰り返し書き換え回数に限度があるとされている。一方我々は遷移金属でないAlを用いたAlOxは酸素空孔に電子が出入りすることにより金属絶縁体転移を起こすという化学変化を伴わないモデルを提唱している。今回AlOx膜を作製し電子状態を放射光により観察したところこのモデルを支持する結果が得られた。

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D4
高速・簡便半導体ナノ構造製造技術とデバイス応用
Fast & easy semiconductor nanomaterials fabrication techniques and device application
深田 直樹(MANA ナノマテリアル分野 半導体ナノ構造物質グループ グループリーダー)

1次元のナノワイヤ、0次元の量子ドットを高速、簡便に形成するための手法を紹介する。形成された半導体ナノ構造を利用した次世代デバイスへの応用例として、1)SiとGeのヘテロ接合から形成される特殊なコアシェルナノワイヤをチャネルとした縦型MOSFET、2)Siナノワイヤ内部にpn接合を形成したSiナノワイヤ光電変換素子、3)Ni被膜Si-Feナノ粒子の集合体を利用したLiイオン二次電池用材料を紹介する。1)では、不純物散乱抑制による高速化、縦型構造化による低消費電力化が可能になる。2)では、光誘起キャリアの分離促進と低反射構造による高効率化を可能とし、3)ではSi-Feナノ粒子による高容量・長寿命の両立を可能にする。

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E先端計測

E1
クロスプラットフォームに対応した電気化学インピーダンス解析ソフトの開発
Development of electrochemical impedance software operatable on cross platforms
小林 清(機能性材料研究拠点 光機能分野 セラミックスプロセッシンググループ 主幹研究員)

一セットのPythonプログラムコードでありながらWindows、macOS、複数のLinuxディストリビューション上で作動するインピーダンス解析プログラムを開発した。そのほか蓄電池スペクトルの解析で有効なクラマース-クローニヒ変換テスト機能やデータ、解析モデル、解析結果を一括管理できるデータシート出力機能を実装した。

E2
室温~1500℃超での表面ひずみ分布測定技術
Strain measurement from room temperature to over 1500 ℃
垣澤 英樹(構造材料研究拠点 接合・造型分野 セラミックス基複合材料グループ グループリーダー)

室温~1500℃で任意の雰囲気で材料の損傷、変形、破壊過程を連続的にin-situ観察を行える高温光学顕微観察技術とその応用例を紹介する。また、デジタル画像相関法と組み合わせて高温ひずみ分布を計測した例も紹介する。

E3
環境制御型時間分解水素透過測定装置
Time resolved hydrogen visualization under environmental condition
板倉 明子(先端材料解析研究拠点 表界面物理計測グループ グループリーダー)

我々は非破壊・非汚染で水素の存在位置を特定できるオペランド水素顕微鏡を開発した。薄板形状の試料背面から水素を供給しながら表面水素分布の時間依存性を計測することで、試料の局所的な水素拡散係数や水素透過量を算出した。また局所構造と対応させることで、水素拡散に対して特異的な構造を抽出することができた。試料温度や、背面の供給ガス種を変えること、金属表面の被膜の計測を行うことも可能である。

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E4
中性子3次元偏極解析「世界初」超高圧下で成功
Success in 3D neutron polarization analysis under extremely high pressure
寺田 典樹(先端材料解析研究拠点 中性子散乱グループ 主幹研究員)

近年物質中の電子スピン配列を変化させることによって物質の機能を制御する試みが盛んに行われている。中性子3次元偏極解析実験は、極めて高精度にスピン配列を決定できるが、中性子核スピンの減極を回避するため、磁性を帯びた高圧力セルを用いる実験は不可能である。我々は、完全に非磁性体で作られたハイブリッドアンビルセルを開発した。4万気圧の高圧力下での中性子3次元偏極解析実験に成功し、大気圧では強誘電性を示さない物質が、圧力を加えることで強誘電性を示すマルチフェロイクス材料に変化することを発見した。この手法は、マルチフェロイクス材料だけでなく、超伝導材料などの、機能性材料に対しても応用できると期待される。

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E5
スピン分解光電子分光による電子スピン直接観測
Direct observation of electron spins with spin-resolved photoemission spectroscopy
矢治 光一郎(先端材料解析研究拠点 シンクロトロンX線グループ 主任研究員)

電子スピンを制御して有用な機能をもたせるスピントロニクスの幅広い産業化の実現には、系が持つスピンも含めた電子状態を理解することが重要である。スピン・角度分解光電子分光(SARPES)は電子のエネルギー・運動量・スピンを直接観測することができるため、様々な物質や材料のスピン偏極電子状態を理解するために有用である。本発表では、最近の主要な研究成果である「鉄系超伝導体のトポロジカル電子状態の発見」と「軌道選択SARPESで解明するスピン軌道結合電子状態」について紹介する。さらに今後のNIMSにおけるSARPES利用研究の展望についても述べる。

E6
中性子を用いた作動装置内部の材料状態の可視化
Operando neutron imaging of material states inside the equipments
間宮 広明(先端材料解析研究拠点 中性子散乱グループ 主席研究員)

原子レベルでミクロ構造を制御した先端材料の利用が高度なデバイス/機器開発の鍵となってきている。こうしたミクロ構造の状態を動作中の機器に組み込まれた状態で非破壊にモニタリングするには量子ビーム、物質透過力に優れた中性子線の回折現象の利用が最適だが、これまで中性子回折装置はミクロ構造を学術的に突き詰めることに特化し、分解能や精度の極限を目指して巨大化・先鋭化の道を歩んできた。そこで、我々は、中性子の透過スペクトルから回折の痕を読み取る小型・簡便かつイメージング像を得ることが可能な手法を開発し、それを先端材料によるイノベーションの基盤として広汎に普及させることを目指している。

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E7
高分解能プローブ顕微鏡による表面化学
On-surface chemistry studied with high-resolution scanning probe microscopy
川井 茂樹(先端材料解析研究拠点 プローブグループ グループリーダー)

原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡の探針構造を制御することで、分子の内部構造を直接的に観察できるほど、分解能が向上した。それに伴い、表面上で単分子を操る化学に新展開が起こった。例えば、単分子の状態を結合長から評価したり、複雑な自己組織化膜を原子レベルで構造評価したり、さらには、水素結合力やファンデルワールス力などを直接的に検出できるようになった。また、表面上で、熱や探針により化学反応を起こさせ、複雑なナノグラフェン構造や小分子を合成し、その機械的・電気的特性の評価もその場で行えるようになった。このように、高分解能プローブ顕微鏡は表面化学に於いて、重要な計測手法となりつつある。

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Fデータ駆動型材料開発

F1
薄膜材料探索スマートラボラトリー開発
High-throughput thin film synthesis based smart laboratory
長田 貴弘(機能性材料研究拠点 電気・電子機能分野 ナノ電子デバイス材料グループ グループリーダー)

組成の組み合わせ、合成手法と複雑化する薄膜材料開発を劇的に効率化する薄膜スマートラボラトリー開発・応用の取り組みについて、薄膜電子材料開発を例として自動高速合成・多量点計測にデータ科学(AI)を導入した薄膜材料開発サイクルの現状と将来像、連携を紹介する。

F2
科学法則の知識データベースを用いた材料探索
Knowledge database of scientific principles for material search
吉武 道子(機能性材料研究拠点 電気・電子機能分野 ナノ電子デバイス材料グループ 主席研究員)

革新的材料を開発するには、常識にとらわれずに、従来の延長線上でない材料を探索する必要がある。一見発想の飛躍と見える発見は、専門分野に囚われずに科学原理を俯瞰することで達成されている。物質の多くの性質(電気伝導率、光吸収特性、生成エンタルピーなど)の間には、互いに科学原理に基づいた様々な関係が存在するが、分野が離れていると関係性に気づくことが困難である。そこで、そのような物性間の関係性をデータベース化し、関係性の探索ができるシステムを開発している。これにより、材料の様々な物性間の関係を分野横断的に探索して、従来の延長線上でない材料の探索を可能にする。

F3
閾値自動推定手法の開発
Development of automatic threshold estimation method
柳生 進二郎(機能性材料研究拠点 電気・電子機能分野 ナノ電子デバイス材料グループ 主幹研究員)

研究現場におけるデジタルトランスフォーメーションでは、実験データとそのフローを考えることが重要である。取得された測定データから、そのデータを俯瞰するために一次解析・可視化は重要であり、この自動化が望まれている。本ポスターでは、測定データの一次解析の自動化の例として、光電子収量分光法(PYS)における教師あり機械学習導入による閾値解析の自動化について報告する。

F4
次世代蓄電池用電解液開発のスマートラボ化
Robot/MI accelerates discovery of new electrolyte composition for next-generation batteries
松田 翔一(エネルギー・環境材料研究拠点 二次電池材料グループ 主任研究員)

電解液添加剤に代表される、多数の化合物の組み合わせを考慮する必要のある材料探索において、その探索候補数は莫大である。従来、研究者の経験やノウハウに基づいた人海戦術的な探索が行われてきた。本実験自動化ロボットを用いることで、これまで人が行っていたときには 1日10種類程度の評価しかできなかった実験を、1日1000 種類以上の評価が可能になる。さらに、取得した大量の実験データに対して、ベイズ最適化に代表される機械学習の手法を適用することで、高い電池特性を示す電解液組成を予測することができる。

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F5
第一原理反応速度論と反応工学によるマルチスケール計算技術と触媒への応用
Multiscale Computational Approach for Catalysts with First-Principles Kinetics & Reaction Engineering
石川 敦之(エネルギー・環境材料研究拠点 界面計算科学グループ 主任研究員)

本研究では、物質の構造情報から反応速度論的情報を得ることのできる第一原理計算と、反応速度論さらには化学工学のシミュレーション技法を融合することでどのような材料に対しても触媒活性を予測することのできる手法を開発する。さらに、本技法を用いることで既存の触媒反応を改善する指針を提示したり新たな触媒候補を理論的に提案することで、触媒材料の開発に貢献する。

F6
機械学習を用いたデータ駆動型物質探索による高性能磁気冷凍材料の発見
Discovery of materials with prominent magnetocaloric effect aided by machine learning
高野 義彦(MANA ナノフロンティア超伝導材料グループ グループリーダー)
寺嶋 健成、P. B. CASTRO

磁気冷凍は、外部磁場による物質の磁気エントロピー変化を用いて冷却用の熱サイクルを形成するもので、高効率な運用が期待されている。これには、所望の温度域で大きなエントロピー変化を示す磁性体が必要である。例えば水素液化温度(約20 K)近傍は、5 Tでのエントロピー変化が 0.3 (J cm-3 K-1) を優に上回るバルク試料に欠いていた。我々は論文報告をもとに収集した手製データベースを用い、組成と磁気エントロピー変化量の関係を機械学習させモデルを作成した。モデルの予測を指針として候補物質を合成した結果、水素液化温度近傍で0.35 (J cm-3 K-1)と非常に高い磁気エントロピー変化を示すHoB2を見出すことに成功した。

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F7
自動計算で広大なデータ空間を作り未知の材料発見に挑む
Work flow of automatic first principle calculation for materials informatics
木野 日織(統合型材料開発・情報基盤部門 デバイス材料設計グループ 主任研究員)
福島 鉄也、知京 豊裕

規則結晶構造の膨大な第一原理計算データベースは存在するが、物性特性まで評価された領域は非常に少なく、またその領域も狭い範囲にとどまっている。また合金のデータベースはほぼ存在しない。我々は合金系に適用するための自動第一原理計算探索システムの構築を行い、四元等比ハイエントロピー合金のBCC構造、FCCの構造それぞれ約7万件の磁化、磁気転移温度(TC)、残留電気抵抗率(R)の網羅計算を行った。理論的な自動物性量評価を可能とすることで、幅広い物質空間上の回帰・探索が可能となる。この成果がハイスループット合成・評価につながり、新材料の効率的な発見に寄与することが期待される。

F8
Data-driven spectral analysis method in electron-beam based techniques英語(日本語訳なし)
DA Bo(統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター 材料データ解析グループ 主任研究員)

In many surface analysis techniques, there is majority of measured data have been completely disregarded as undesirable background data, which is inefficient. We proposed a data-driven analysis method to extract meaningful information from the background signal and to propose an important breakthrough for the next generation surface analysis.

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F9
データ駆動型のX線光電子スペクトル解析による化合物同定の自動化
Automatic identification of compound by data-driven XPS spectral analysis
吉川 英樹(統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター 材料データ解析グループ グループリーダー)
村上 諒、庄野 逸、永田 賢二篠塚 寛志

NIMSでは、計測データの収集、判読化、解析のワークフローの自動化と所内共用を進めている。ワークフロー内で計測データの自動解析は、材料研究のハイスループット化として重要である。現在、X線光電子分光(XPS)スペクトルを例として全自動解析のアルゴリズム開発を進めている。文献にある多機関で計測された多様な材料のスペクトルを収集し数理モデル化し未知試料のスペクトルの解析に適用するデータ駆動型解析を特徴としている。多機関の異なる装置で測定されたことに由来するデータの揺らぎを自動的に考慮する機能を組み込むことで、混合物試料のXPSスペクトルより含有する化合物種を自動推定することが可能となった。

F10
アクティブラーニングを用いた高速新材料探索英語(日本語訳なし)
Active learning: A Booster for Discovering New Materials from Small Datasets
Guillaume LAMBARD(統合型材料開発・情報基盤部門 エネルギー材料設計グループ 主任研究員)

For accelerating the design of functional materials (small molecules, polymers, alloys, etc.) and the optimization of their processing conditions, as well as triggering the discovery of unexpected materials and therefore growing the knowledge in materials science, curated small datasets joined to the active learning principles are all you need.

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F11
材料レシピ:プロセス情報の自動収集と統一フォーマット
Material Recipe: Automatic extraction and structuring of process information
石井 真史(統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター 材料データベースグループ グループリーダー)

マテリアルズ・インフォマティクスによる「使える材料」開発には、プロセス情報が欠かせない。生の素材の価値を最大限引き出すプロセスを導く「プロセス・インフォマティクス」。その新たな挑戦において必須なプロセスの概念化と機械可読化を達成した。幾つかの素過程を組み合わせてプロセス全体を記述するスキーマを提案するとともに、自然言語処理を駆使し、論文など公知情報から機械可読な「材料レシピ」を自動作成する試みの結果を紹介する。

F12
21世紀の錬金術:機械が見つける高機能構造英語(日本語訳なし)
Alchemy 2020: High performance structure predicted by machine
ディーブ 冴(統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター 材料データベースグループ 研究員)

We present a machine-learning approach to solve the inverse design problem of depth-graded multilayer structures for X-ray Optics. Our model uses Monte Carlo tree search (MCTS) with policy gradient in combination with a reflectivity simulation.

G構造材料

G1
酸素還元促進による新たな腐食加速試験
A Novel Accelerated Corrosion Test with Enhancement of Oxygen Reduction Reaction
土井 康太郎(構造材料研究拠点 腐食特性グループ 独立研究者)

実環境での金属材料の腐食を短時間で再現するには腐食加速試験法が必要になる。これまでの腐食加速試験法には、早く腐食を進行させることができるものの形成する腐食生成物が実環境と異なるため、正確な評価が行えないという課題が存在した。本研究では、腐食を律速する酸素還元反応を加圧酸素ガスの供給により促進し、実環境と同様の腐食生成物を短期間で再現できる高酸素腐食促進試験法を開発した。本試験法を用いることで、劣化に数十年以上かかるコンクリート構造物や、新しく開発された耐食材料・含浸材などの材料の寿命を飛躍的に向上させる材料の長期信頼性を検討できるようになった。

G2
微小球反発試験機 - 汎用高性能ですぐ使える硬さ試験機
Small Ball Rebound Tester - universal, high quality, and easy-to-use hardness tester
宮原 健介(構造材料研究拠点 環境疲労特性グループ 主任研究員)

微小球反発試験機は、試料に小さな球(直径3mmのアルミナ球)を衝突させて硬さ(反発係数)を測る大変ユニークな試験機である。金属/食品/セラミックス/ゴム/木材など様々なものに対応し、小さな試料(目安として厚さ5mm以上)から大きな構造物まで試験できる。測定は調整不要で一瞬で完了し、くぼみの読み取り不要のため個人差もなく安定している。複数の企業との協力により、世界で初めて製品化された。製品はポータブルで、360°あらゆる向きに試験できる。

G3
革新的表面改質技術による超高耐食ジルコニウムの開発
Development of ultra high corrosion resistant zirconium by innovative surface modification technique
堤 祐介(構造材料研究拠点 腐食特性グループ 主席研究員)

原子炉材料から一般工業材料、生体材料への応用が進められている先端材料であるジルコニウムについて、塩化物環境中で腐食する現象を完全に抑制する技術を開発した。この技術は同じ腐食機構を有するステンレス鋼にも適用が可能であり、さらなる用途の拡大が期待される。

G4
プロセス中の酸化を抑制した溶射タングステン皮膜の開発
Development of tungsten coatings with low oxygen content by thermal spray deposition
渡邊 誠(構造材料研究拠点 接合・造型分野 積層スマート材料グループ 分野長)

核融合炉プラズマ対向面は、耐熱性と耐スパッタ性が良好で、核融合中性子による重照射に耐える材料が必要である。タングステンはその最有力候補であり評価が進められているが、製造性や修復に適したプロセスの確立が求められている。溶射法は部材形状や大きさの制限が少なく、さらに大気中でのその場施工も可能であることから、タングステン保護膜の製造プロセスとして可能性がある。しかし保護膜は高い純度が求められるため、大気プロセスではいかに酸化を抑制できるかが鍵となる。本研究では従来のプラズマ溶射と比較し、低温高速フレームによる固相又は半溶融粒子の堆積によるタングステン成膜を試み、酸化を出来るだけ抑制したタングステンの成膜に挑戦した。

G5
Mechanical performance of laser printed auxetic lattice structures英語(日本語訳なし)
Christopher MERCER(構造材料研究拠点 接合・造型分野 表面・接着科学グループ 主幹研究員)
Marc THIELEN(Univ. of Freiburg)、Thomas SPECK(Univ. of Freiburg)、Junyi LEE (Imperial College London)、Daniel BALINT (Imperial College London)

Auxetic lattice structures exhibit negative Poisson's ratio, and consequently, excellent energy absorption characteristics. This makes them excellent candidates for crash protection applications. A detailed analysis of the mechanical performance of metallic, 3-D laser printed auxetic structures is presented.

G6
積層造形チタン合金の機械的特性予測
Prediction of mechanical properties of titanium alloy fabricated by additive manufacturing
草野 正大(構造材料研究拠点 積層スマート材料グループ 研究員)

金属粉末レーザ積層造形技術を用いることで、チタン合金などの難加工材料の任意形状製品を作製できる。積層造形のプロセス条件によって材料内の欠陥や微細組織が変化し、結果として機械的特性などの材料物性が大きく変わる。本研究では、積層造形チタン合金について、微細組織や欠陥と機械的特性との相関関係を調べ、機械的特性を高精度に予測できるモデルを構築した。

G7
耐疲労制振合金と溶接技術開発
Development of a fatigue resistant steel for weld seismic damper
吉中 奎貴(構造材料研究拠点 設計・創造分野 振動制御材料グループ 研究員)
澤口 孝宏高森 晋中村 照美、櫛部 淳道、井上 泰彦

先行研究で開発した制振ダンパー鋼は従来比10倍の疲労寿命を有する。本鋼材は剪断パネル型制振ダンパーの心材として実用化した。一方、溶接技術が未確立であったため本ダンパーの組立はボルト接合により行われた。しかし、製造コスト低減やダンパー形状の自由度確保のためには溶接組立が不可欠である。そこで、シェフラー状態図を用いた溶接組織の検討により、制振ダンパー鋼-建築構造用鋼間の溶接技術を確立した。本技術により、溶接組立によるブレース型制振ダンパーを実現し大型展示場へ実装した。現在、溶接特性と疲労特性それぞれに係る設計指針を組合せ、凝固割れを生じず超長寿命を発揮する新鋼材の開発を竹中工務店と進めている。

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G8
ミクロな疲労き裂の高温その場観察
In-situ observation of the microscopic fatigue crack under the high temperature
西川 嗣彬(構造材料研究拠点 疲労特性グループ 主任研究員)

繰返し荷重負荷を受けると発生する金属の疲労破壊を制御することは、機器の長期信頼性を担保する上で欠かせない。一方、疲労寿命の大部分が、ミクロな疲労き裂(微小疲労き裂)の発生と進展に費やされることが知られており、NIMSでは、微小疲労き裂の自動観察システムの構築を進めてきた。本研究では、これまでに構築した観察システムに高周波誘導加熱システムと長焦点のマイクロスコープを組み合わせ、高温下での微小疲労き裂の観察システムを構築し、耐熱材料の高温下での微小疲労き裂進展挙動のその場観察に成功した。さらに、画像相関法を活用して、高温下でのき裂開閉口挙動の実測にも成功した。

G9
数値シミュレーションを用いた構造材料研究・開発支援
Computer aided engineering for structural materials R&D
渡邊 育夢(構造材料研究拠点 高強度材料グループ 主任研究員)

計算機や洗練されたソフトウェアの飛躍的発展を受けて、計算機支援工学(CAE; Computer Aided Engineering)は産業界に浸透し、製品開発サイクルの短縮に大きく貢献している。計算機を用いたアプローチは材料研究・開発においても有効であるが、デジタル設計図が存在しないなど、数値モデルの作成に必要となるデータの取得が困難なケースが多い。本研究では、既往のCAEが得意とする現象の可視化、数理最適化法と連携した最適設計を高度に活用し、材料研究・開発を対象とした計算機支援工学の枠組みを提案する。また、実験・理論・計算・データ科学を統合し、既存の枠組みにとらわれない新しいアプローチを創出する。

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G10
MnSによる高強度鋼のギガサイクル疲労
Gigacycle fatigue of high-strength steels induced by MnS
古谷 佳之(構造材料研究拠点 疲労特性グループ グループリーダー)

各種の重要部品で使用される高強度鋼ではギガサイクル疲労が問題となる。それに対して、加速試験技術の確立、データの蓄積、メカニズム解明、予測式の導出、新たな疲労限の実証などの研究を行ってきた。しかし、従来の研究は主に酸化物系介在物を対象とし、MnSのような他の介在物については未解明であった。MnSのように細く伸びる介在物は、通常は無害と考えられているが、メタルフローに対して垂直方向に応力が作用する等の条件によっては問題となる。本研究では、加工度が高いほど疲労強度が高くなることを示すと同時に、先の研究で求めた予測式でMnSの影響を概ね評価できることを明らかにした。

G11
積層造形中にその場でわかる:AE法を使った欠陥検出
Real-time microcrack detection during additive manufacturing by AE method
伊藤 海太(統合型材料開発・情報基盤部門 データ駆動構造材料グループ 主任研究員)

金属部材の積層造形(3Dプリンタの一種)は複雑なプロセスであるため、理論や計算による性能予測や条件最適化が非常に難しい。そこで、裏付けになる実測データで「加工中に何が起こっているのか」の必要性が高くなるが、リアルタイムに取得できるデータは非常に限定的であった。本研究では、造形中という高ノイズ環境でも使え、無線・バッテリ駆動で装置内に設置しやすいアコースティック・エミッション(AE)計測装置を開発し、造形中の材料内部の欠陥生成の検出を可能にしている。

H材料プロセッシング

H1
磁場を用いたセラミックスの結晶配向制御
Control of orientation in ceramics by magnetic field
鈴木 達(機能性材料研究拠点 光機能分野 セラミックスプロセッシンググループ グループリーダー)

物質の特性は結晶方位に依存するため、バルクセラミックスの組織粒を特性の優れた結晶方位を揃えることで、バルク全体の特性の向上が可能であり、磁場を用いた結晶方位制御プロセスを提供する。結晶磁気異方性を有すれば、アルミナや酸化亜鉛などの反磁性セラミックスへの適用も可能であり、粒子形状を問わない。焼結時には磁場は不要であり、SPSやホットプレスなどの緻密化手法の使用も可能。

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H2
軽量かつスマートな構造材料のための低温大気圧異材接合技術
Hybrid bonding in ambient air for lightweight and smart structural materials
重藤 暁津(構造材料研究拠点 表面・接着科学グループ 主幹研究員)

有機無機ハイブリッド軽量構造材料に電子基板群を内包させ、電子システムの高信頼性と、移動体IoTにおける信号伝送の高度化を達成することができるスマート構造材料の提案と、それを実現するための低温大気圧・高信頼性異種材料接合技術を解説する。

H3
宇宙実験・地上実験・スーパーコンピュータの連携による超高温浮遊液体の研究ーガラス形成の理解へ向けて
A synergetic co-operation between measurements in space and on earth, and advanced computer simulations for studying high-temperature levitated liquids - towards the understanding of glass formation
小原 真司(先端材料解析研究拠点 光・量子ビーム応用分野 シンクロトロンX線グループ 主幹研究員)

国際宇宙ステーションISSきぼうに設置された高温液体浮遊装置を用いて測定されたガラスにならない酸化物液体の密度、地上の放射光施設SPring-8で束帯された構造データ、そして計算域実験を併用してガラスにならない液体に潜む特異なクラスター構造の抽出に成功した。

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I耐熱・断熱材料

I1
革新的次世代断熱素材・遮熱技術
Next-generation thermal insulation materials and innovative coating technologies
ウー ラダー(構造材料研究拠点 超耐熱材料グループ 主任研究員)
LEE Kuan-I

近年、建造物の省エネルギー化において、温度管理技術に大きな関心が寄せられているところである。再生可能エネルギーの大量導入のためには、発電コストの大幅な低減、低コストかつ大規模な電力貯蔵技術等が必要になる。スマートグリッドの実現には、エネルギー貯蔵システムを介在していかにエネルギーを効率的に収集・分配・ 利用する技術を実現するかが重要である。本研究では、高いパフォーマンスを発揮する断熱エアロゲルコーティング材料の製作、評価に係る開発を行っている。

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I2
析出強化型耐熱材料設計システムの開発
Development of Search System of Precipitation-strengthened High-temperature Materials
戸田 佳明(構造材料研究拠点 積層スマート材料グループ 主幹研究員)

発電プラントや内燃機関のエネルギー効率向上のため、高温特性の優れた耐熱材料の開発が必要である。NIMSではこれまでに、析出制御により既存材料よりも優れた耐熱鋼・耐熱チタン合金を提案してきた。しかし、従来の実験手法のみの開発では時間や予算の制限による限定的・非効率的な試行錯誤しかできない。そこで、サイバー空間上で新規耐熱材料・製造プロセスを網羅的・効率的に試行錯誤・探索するシステムが必要だと考える。まずは任意の合金組成・温度・熱処理時間における析出組織を迅速に予測するプログラムを作成した。これらを連続実行することで析出組織データベースを構築し、理想組織の合金・プロセスを選択できるようにしたい。

I3
撥水性・断熱性等を有する柔軟シリコーン複合多孔体
Liquid-repellent and heat-insulating flexible silicone composite porous monoliths
早瀬 元(MANA ソフト化学グループ 独立研究者)

有機ケイ素アルコキシドを出発原料としたゾル―ゲル反応により柔軟なモノリス型多孔体が得られる。ナノファイバー等と複合化することで、軽量ながらもハンドリング性や機械加工性が向上した材料となる。これらは撥液性や断熱性といった特徴的な物性を示すため、単純な合成プロセスとあわせてさまざまな応用が期待できる。

J電池材料

J1
シリコンナノ粒子のみから成る全固体電池用高容量負極電極体
Si Nanoparticles as High-performance Anode for All-solid-state Li Batteries
太田 鳴海(全固体電池グループ 主幹研究員)

市販のシリコンナノ粒子を用い、スプレー塗工法で作製したシリコンナノ粒子電極体が、全固体リチウム二次電池中で高い出力特性及びサイクル特性を示すことを見出した。シリコンは現行の黒鉛の11倍にあたる4200 mAh/gの理論容量密度を持ち、リチウムと並ぶ究極の高容量負極である。高価で大面積化の困難な気相法で作製するシリコン蒸着膜ではなく、安価で大面積化が比較的容易なスプレー塗工法で作製したシリコンナノ粒子電極体で高い電極特性が確認されたことは画期的で、安全で高い信頼性を有する全固体リチウム二次電池の高エネルギー密度化への貢献が期待される。

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J2
非鉛系ペロブスカイト太陽電池の開発英語(日本語訳なし)
Pb-free perovskite solar cells
Ashraful ISLAM(エネルギー・環境材料研究拠点 太陽光発電材料グループ 主席研究員)
Towhid H. CHOWDHURY

Sn-based perovskite solar cells (PSCs) have attracted much attention as an alternative of toxic Pb-based PSCs. Herein, a post‐deposition vapor annealing process is presented that enables the fabrication of stable, homogeneous FASnI3 perovskite absorber films with low crystal defects and low surface recombination over a large area up to 1.0cm2.

J3
屋内でも単セル1V超、屋内光発電素子
Perovskite PV for Indoor Applications
白井 康裕(エネルギー・環境材料研究拠点 太陽光発電材料グループ グループリーダー)

本研究では、微弱な光環境である屋内においても高電圧出力可能な光発電素子の実現を目指す。具体的には、一般的なオフィス環境下に存在する環境エネルギーのみで、無線通信・各種センサーなどを備えたデバイスを半永久的にメンテナンスフリーで駆動可能な発電素子を実現する。

J4
全固体電池固体電解質の計算・データ科学
Computational & Data Science on Solid Electrolyte in All-Solid-Stat Battery
館山 佳尚(エネルギー・環境材料研究拠点 界面計算科学グループ グループリーダー)

全固体電池は次世代二次電池の有力候補として現在盛んに研究開発が行われている。NIMS界面計算科学グループにおいても、「富岳」スパコン等を利用した計算科学研究、機械学習と第一原理計算を組み合わせたインフォマティクス研究について、先端的な研究を展開している。本ポスターでは、当グループが有する先端計算・データ科学技術とその成果を紹介しつつ、実験研究者・産業界との連携の可能性について示したいと思う。

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J5
色素増感太陽電池(環境低負荷材料太陽電池)の固体電解質
Solid Electrolyte of dye-sensitized solar cells
柳田 真利(エネルギー・環境材料研究拠点 太陽光発電材料グループ 主幹研究員)

色素増感太陽電池は鉛、カドミウムなどの有害な材料を使用していないことから環境低負荷な太陽電池として期待されている。一方で材料に電解質溶液(液体)を用いているため、耐久性の問題がある。電解質の固体化が検討されているが、電解質中の電荷輸送特性の低下から光電変換効率が低い状態である。本報告では光電変換効率の低下を抑える固体電解質を提案する。

J6
重さによる高精度な空気電池評価システム
Gravimetric measurement of Air-Battery cells
野村 晃敬(エネルギー・環境材料研究拠点 二次電池材料グループ 主任研究員)

エネルギー密度が高く、圧倒的な小型軽量化と大容量化が期待できるリチウム空気電池。充放電サイクル特性が低く、繰り返し使うことが難しいのが大きな課題だ。サイクル特性を改善するには、充放電中に起きているわずかな電池副反応を検出し抑制する必要がある。本ポスターでは空気電池セルの微量な重さ変化を高精度に測定し、電池反応を評価するシステムを紹介する。

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J7
「富岳」による二次電池計算科学
Computational Research on Battery via Supercomputer "Fugaku"
館山 佳尚(エネルギー・環境材料研究拠点 界面計算科学グループ グループリーダー)

スーパーコンピュータ「富岳」は令和3年度から一般に公開される。それに先駆けて、文部科学相「富岳」成果創出加速プログラム(令和2―4年度)が設定され、NIMSが二次電池・燃料電池課題に関する代表機関として採択された。(課題名:次世代二次電池・燃料電池開発によるET革命に向けた計算・データ材料科学研究(富岳電池課題))本ポスターでは、当課題における研究・開発活動について説明すると共に、産業界との連携の可能性についてご紹介する。

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J8
量子ドット太陽電池
Quantum dot solar cell
野田 武司(エネルギー・環境材料研究拠点 太陽光発電材料グループ 上席研究員)

量子ドット太陽電池は従来の効率限界を超える高効率化が可能な太陽電池として大きな注目を集めている。大きな可能性がある一方、課題も明確になってきた。本発表では、我々の取り組みのうち、実デバイスとしての量子ドット太陽電池に関わる研究成果を紹介する。

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K熱電材料

K1
環境中の温度差を利用するセンサー用独立電源
Autonomous power supply for IoT sensors using temperature difference
高際 良樹(エネルギー・環境材料研究拠点 独立研究者)

Eco-Society5.0構想の実現に向けて、各種IoT機器および情報発信機器の駆動を支えるメンテナンスフリーの分散型独立電源の開発が求められている。資源制約の少ない鉄・アルミニウム・シリコン元素のみから構成される、低コストかつ安全な新規材料を開発し、量産可能な低温駆動型の小型温度差発電モジュール化技術を構築した。

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K2
高融点低抵抗粉末を混合したMg2SiSn熱電材料
Mg2SiSn thermoelectric material mixed with lower electrical resistance powder of higher melting point
磯田 幸宏(エネルギー・環境材料研究拠点 嘱託職員)

高融点で低抵抗のタングステンあるいは二ケイ化タングステンの粉末とMg2SiSn熱電材料粉末を混合して焼結体を作製した。その焼結体の熱電性能は大きく向上した。

K3
MIMプロセスによる熱電材料の合成と特性評価
Synthesis and evaluation of thermoelectric materials by MIM process
渋谷 直哉(エネルギー・環境材料研究拠点 NIMS特別研究員)

鉄ケイ化物は、センサーなどに使用する、メンテナンスフリーの独立電源供給用の低コストの熱電材料候補の一つである。一方、金属射出成型(MIM)プロセスは、金属材料の大量生産プロセス一つである。本研究では、MIMプロセスによって得られた鉄ケイ化物成型体の無加圧焼結とその熱電性能の評価をおこなっている。

K4
導電性高分子PEDOT/PSS膜と熱電特性評価
Conductive PEDOT/PSS Polymer Film and Thermoelectric Properties
前田 諒太(エネルギー・環境材料研究拠点 外来研究者)

導電性高分子PEDOT/PSS膜は、一般的に、キャスト法やスピンコート法のようにPEDOT/PSS水分散液の水を揮発させることで、直接的に成膜される。一方で、我々は、導電性高分子PEDOT/PSSのオリジナル成膜法(ゲル化成膜法)の開発している。このゲル化成膜法は、水分散液と乾燥膜の中間体として、膜状のゲルを介した成膜法である。本報告では、熱エネルギーを電気エネルギーに直接かつ可逆的に変換可能な熱電変換材料としての応用検討のために、熱電特性評価を行った結果を示す。

K5
コンビナトリアルスパッタ法によるナノ構造制御薄膜熱電材料の開発
Development of nanostructure controlled thermoelectric thin films by combinatorial sputter coating system
佐々木 道子(MANA 熱エネルギー変換材料グループ NIMS特別研究員)

NIMSで開発したコンビナトリアルスパッタコーティングシステム(COSCOS)は、従来型のコンビナトリアル技術に加え、組成以外の多様なパラメータも変化させられるシステムである。COSCOSの高性能化をはかり、界面制御性の高度化、デバイス作製、MIとの融合などの進化を遂げており、エネルギー環境分野の材料作製を精力的に進めている。ここでは、COSCOSを用いたナノ構造制御による熱電薄膜材料の高性能化の取り組みとして、ナノ構造制御を行ったMgSi/Sn薄膜の熱電特性に関する研究を紹介する。

関連リンク
K6
IoTセンサ用独立電源等へ向けた革新的な熱電変換技術の開発
Thermoelectric conversion technology toward supplying autonomous power for IoT sensors and devices
森 孝雄(MANA 熱エネルギー変換材料グループ グループリーダー)

我々のグループでは、熱電高性能化の新原理発掘などにより、熱電発電の200年来の実用化の夢へ挑戦を進めており、一兆個と言われるIoTセンサー・デバイスの自立電源を供給する新規産業の創出を目指している。具体的には、電子物性および熱物性における熱電的性質の従来のトレードオフを凌駕するような、ナノ構造制御や、磁性の活用による熱電効果の増強を見出し、高性能磁性半導体熱電材料という新領域を開拓してきた。共同研究により関連材料を薄膜化することで、従来のチャンピオン材料ビスマステルライドの10倍の出力因子という前人未到の超高性能も見出された。また、産業・大量生産に合致したプロセスによる発電モジュールの開発も進めている。

関連リンク
K7
第一原理計算・薄膜化技術・機械学習を活用した新物質・熱電機能開拓
Development of novel materials and thermoelectric functions by combining First-principle calculation, thin film growth, and machine learning approaches
大久保 勇男(MANA 熱エネルギー変換材料グループ 主任研究員)

第一原理計算による機能予測と、作製条件の最適化に機械学習を活用した高効率薄膜作製実験を組み合わせた研究手法の開発を行っている。この手法を、新物質開拓・機能開拓研究(特に熱電変換機能)に適用し、IoT機器への応用を目指した熱電デバイス開発を視野に入れて研究を行う。また、機械学習を搭載したAll-in-one型自動薄膜作製装置の開発にも取り組む。

関連リンク

L先端・大型装置利用

L1
NIMS Open Facility / ナノテクノロジープラットフォーム
NIMS Open Facility
花方 信孝(技術開発・共用部門 事務統括室 部門長)

NIMS Open Facility/ナノテクノロジープラットフォーム は、最先端の研究施設・設備を民間企業・大学等・公的研究機関の研究者・技術者の皆様が利用できる環境・体制を提供している。

L2
材料創製・加工
Materials Manufacturing and Engineering
中村 照美(技術開発・共用部門 材料創製・加工ステーション ステーション長)

研究者単独では不可能な機器の設計・試作(機械加工、ガラス加工)や試料調整と材料創製(溶解、鍛造圧延、熱処理)をおこない、研究の高度化を促す。

L3
鍛造シミュレータ
Forging Simulator
御手洗 容子(技術開発・共用部門 材料創製・加工ステーション 鍛造シミュレータグループ グループリーダー)

直径280mmの鍛造試験材を得ることが可能な大型鍛造試験機・1500トン鍛造シミュレータの特徴と仕様およびプレス速度の応答性能について説明する。また、鍛造シミュレータの最大の特徴である恒温鍛造試験について、Ni基超合金の900℃恒温鍛造試験などの鍛造試験の実例を紹介する。

L4
材料分析
Materials Analysis
川田 哲(技術開発・共用部門 材料分析ステーション 表面・微小領域分析グループ ステーション長、グループリーダー)

材料分析ステーションは、依頼者の満足と信頼を得る分析情報の提供により、物質・材料開発の進歩に貢献することを基本理念としている。加えて、技術の向上および改善による精確性の高い分析技術の実現および分析結果の信頼性の確保を行動規範として活動している。本発表では、表面分析・X線回折・化学分析の各手法を用いて、あらゆる材料・物質に対して多角的に試料の評価を行ない、試料が示す様々な物性の起源解明に寄与を果たしている例を示す。

L5
電子顕微鏡
Transmission Electron Microscopy
竹口 雅樹(技術開発・共用部門 電子顕微鏡ステーションナノ構造解析グループ グループリーダー)

電子顕微鏡ステーションナノ構造解析グループにおける提供技術および事例について紹介する。

関連リンク
L6
NMR・低温応用
NMR & Cryogenic
清水 禎(技術開発・共用部門 NMRステーション ステーション長)

最新の固体NMR装置や強磁場計測装置を擁し、材料開発のイノベーションや世界トップレベルの基盤的研究の推進に貢献している。また液体ヘリウムの供給、液体水素関連技術の開発支援を行っている。

L7
微細加工・ナノバイオ
Nanofabrication & Nanobiotechnology
箕輪 貴司(技術開発・共用部門 ナノテクノロジー融合ステーション ステーション長)

全国の大学・企業・公的機関のナノテクノロジー研究者に対して、最先端「超微細加工」および「ナノバイオ」に関する施設、設備と高度な技術を提供する。

L8
先端材料解析
Advanced Material Analysis
原 徹(技術開発・共用部門 構造材料解析ステーション ステーション長)

先端ナノ計測技術群を産学官の研究開発支援に供することにより、世界トップレベルの研究成果の創出と、産業ニーズに応える支援と異分野融合を積極的に推進する。